ワダチを作る #1:瞑想アプリのつもりが、習慣トラッカーになった
ハコヅミの開発は、冬のあいだ、いったん止めています(#78)。 その間に、2つ目のサービスの企画を始めました。作るのは、毎日の習慣を記録する習慣トラッカーです。名前は**ワダチ(Wadachi)**にしました。 (2026年10月時点の内容です)
最初は、習慣トラッカーを作るつもりではありませんでした。この記事は、決まった結果よりも、途中で迷ったことと、考えが変わったことを中心に書きます。
きっかけ:毎朝の Calm
毎朝、10分間、坐禅をしています。タイマーには Calm を使っています。
不満は2つありました。
- 毎日、有料化の広告が出てくる
- 履歴を書き出す機能がない(履歴は、アプリの中のダッシュボードで見るだけ)
それでも使い続けているのは、今までの実績が記録されているからです。乗り換えの壁は、機能ではなく、記録を持っていけるかでした。
ハコヅミの開発を止めたあとの次のネタは、「自分が毎日使っていて、不満があるもの」から探しました。いちばん不満があったのが、この Calm でした。
瞑想アプリから、習慣トラッカーに広がった
最初は、瞑想のアプリを自作して乗り換えるつもりでした。 そこで思い出したのが、Notion の「習慣トラッカー」です。2021年12月から、毎日、同じ内容を記録していました。座禅のチェックは1,670日分あります。Calm にあるそれより前の記録は、捨ててよいと判断しました(約5年分あれば十分です)。
Notion の記録を取り込めるなら、瞑想だけにする理由がありません。早起き、ウォーキング、掃除、読書も、同じデータベースに入っています。 Calm と Notion の二重記録がなくなり、朝のルーチン全体を1か所にまとめられるので、習慣トラッカーに広げました。
ここで、ハコヅミと同じパターンだと気づきました。Notion で管理していて、かゆいところに手が届かないものを、自分でサービスにする。Notion は、何年も使った試作品のようなものです。本当に要るか、どこが足りないか、初日から使えるデータが、そろっています。
朝活は「枠は続き、中身は変わる」
最初は、「日付・習慣・やった/やらない」だけを持てばよいと考えていました。 ところが、Notion の記録を振り返ると、「朝活」の中身が変わってきていました。
- 日によって、ロードバイクや読書を選んでいた時期
- 3年前から、勉強(資格とプログラミング)
- 今は、個人開発
これからも変わります。比べたのは、次の2案です。
- 中身ごとに、別の習慣にする
- 朝活を1つの習慣にして、中身を選ぶ
5年続いているのは、「朝活をする」ことそのものです。中身ごとに分けると、中身が変わるたびに、続いてきた記録が途切れます。そこで、朝活を1つの習慣にして、中身は複数選べる形にしました(「勉強と読書」の日もあるため)。
早起きや瞑想のような「固定の習慣」も、別の種類にはしませんでした。内容の選択肢を持つかどうかだけの違いにしています。種別の列も要りません。あとから固定の習慣に内容を付けたくなったら、選択肢を足すだけです。
読書の置き場所で、2回迷った
いちばん迷ったのが、読書です。
1回目(10月20日):読書は、始業前の30分にやっています。朝活の中身にも「読書」があるので、どちらに付けるか迷いました。もともと読書は、朝活の種類の1つでした。朝活の時間に入れると続かなかったので、始業前に置き直しただけです。そこで、朝活を「朝の時間帯」ではなく「毎日の自己投資の時間」と捉えて、読書も朝活の中身にしました。
2回目(10月21日):朝の流れを、順番に書き出してみました。
起床 → 坐禅 → ドローイン → 朝活 → ウォーキング → 朝食 → 掃除 → (平日だけ)始業までの読書
読書は、朝活のあと、ウォーキング・朝食・掃除をしてからです。朝活の記録に、あとから内容を足すことになり、実態に合いません。しかも、平日だけです。
そこで、読書を平日のみの独立した習慣に変えました。取り込みにも影響します。Notion の「読書」のチェックは独立した習慣へ入れ、読書のチェックだけの日は、朝活の日に数えません。2023年までの朝活の選択にあった「読書」は、当時の意味のまま、朝活の内容として残します。
実際の朝の流れを書き出すまで、実態とのずれに気づけませんでした。
ドローインを、一体にして、別に戻した
ドローインは、坐禅のあとに5分やっている体幹の運動です。
10月20日:坐禅と必ずセットなので、別の習慣にせず、瞑想の一部にしました。
10月21日:別の習慣に戻しました。そう決めたのは、Notion にドローインの記録がなかったからでした。実際には、坐禅(Calm)とドローイン(Apple のタイマー)を、それぞれ別のタイマーでかけています。ワダチにタイマーを入れるなら、別々にタイマーをかけて、別々に管理するほうが実態に合います。
過去の分は、記録がありません。座禅にチェックがある日は、「ドローインもやった」として取り込みます(セットでやっていたため)。ドローインとしての累計は、この取り込みから始まります。
朝のものではないものがある:時間帯と夕活
筋トレや禁酒は、朝ではなく、仕事のあとのものです。「いつやるか」というもう1つの軸が必要でした。
- 習慣に時間帯(朝・夜など)を持たせ、画面ではまとめて並べる。数え方には関わらない、表示のまとまりだけの情報
- 朝活と同じ形で、夜に夕活を足す。仕事のあとにも1つ取り組むことがあると、だらだらしにくい。Notion の筋トレ(体幹・腹筋)は、夕活の中身として取り込む
- 禁酒は、成り立つのは翌日だが、実際には「もう飲まない」と決めた夜に付けている。その日の分として付ける
「毎日」ではない習慣:頻度と、季節もの
読書が平日だけだと分かって、「やらない日」を「できなかった日」と数えない仕組みが必要になりました。冬のあいだだけやるロードバイクの室内トレーニングは、「週○回」です。
習慣ごとに、頻度を3つから選べるようにしました。
- 毎日(既定)
- 曜日を指定(平日のみなど)
- 週○回
最初は「週○回の目標」を、今後の機能強化の候補に入れていました。読書と室内トレーニングの2つのパターンが出てきたので、基本機能に格上げしました。週は、月曜始まりです。「平日のうち週○回」のような組み合わせは、必要な習慣が今はないので、作りません。
もう1つ迷ったのが、季節ものです。最初の設計では、習慣に「始めた日・やめた日」を1組だけ持たせていました。これだと、やめたあとに再開できません。次の2案を比べました。
- A:期間を複数持てるようにする(休止と再開)
- B:毎年、別の習慣として作り直す
**Aにしました。**ロードバイクの累計を、通年で見られるようにしたかったからです。連続日数や達成率は、この期間の中だけで出します。休止中を、できなかった日と数えないためです。
坐禅のタイマーを、どう融合させるか
ワダチで一番欲しい機能が、坐禅のタイマーです。
タイマーを、別の機能として横に置くことはしませんでした。習慣の記録の付け方の1つにしています。チェックを付ける代わりに、タイマーを開始すると「やった」が付きます。途中で止めても、やったことにします(「少しでも座ればよい」という続け方です)。
心配は、ブラウザのタイマーが、画面がロックされると止まることでした。使うのは iPhone ではなく iPad mini で、Calm では動画が流れているあいだ画面が点いたままだと分かり、心配は小さくなりました。それでも、最初に iPad mini の実機で試作して確かめます。動かなければ、そこで考え直します。
Calm のように映像も流すかも迷いました。坐禅のあいだ、画面はほぼ見ていません。そこで、鐘と環境音までにして、映像は将来に回しました。Calm の音や映像は使えないので、商用で使える無料の素材か、自分で録ったもの(キャンプの焚き火など)を使います。
連続日数を主役にしない:「積み上がり」を見せる
習慣トラッカーといえば、連続日数です。ただ、連続日数は1日休むと0に戻ります。これは、「休んでも、また再開すればよい」という自分の続け方に合いません。
やりたいことは、途切れていても、続けていることに意義があると分かるようにすることでした。ただ、具体的にどう見せればよいか、最初はイメージが湧きませんでした。
整理のしかたを変えました。「途切れた」ことを数字で見せず、「積み上がった」ことを数字で見せる。自分の坐禅の記録(約5年)を例に、5つの見せ方を比べました。
- 累計と割合(「通算1,670日、始めてからの93%」)
- 直近の期間で見る(「直近7日で6日、直近30日で27日」)。期間で見ると、0に戻らない
- 年ごとの日数(毎年340日台、という実感に近い)
- ヒートマップ(草)
- 休んだあとの再開のひとこと(「3日ぶりです。また始めましたね」。責めずに迎える)
最初に作るのは 1・2・3・5 です。既定の表示は2にして、1はその下に小さく並べます(見辛ければ、あとで直します)。3は、年間推移を選んだときだけ見せます。どれも「日付・習慣・やった」の記録だけで出せて、画面も軽いからです。4のヒートマップは、見栄えはよいものの、画面を作る手間がかかるので、あとにしました。
習慣の強さ(スコア)や節目の記念などは、「今後の機能強化の候補」にまとめて、あとで選びます。
記録を付ける端末が、途中で変わった
最初は、ハコヅミと同じく「スマホで片手で付けられる」ことを前提にしていました。ところが、今の使い方を確かめると、こうでした。
- 早起き・坐禅・ドローインの記録までは、iPad mini
- そのあと(朝活・ウォーキング・掃除・読書、夜の夕活・禁酒)は、パソコン
- スマホでは、付けていない
そこで、iPad mini(タイマー)とパソコン(一覧を見て付ける)を、同じ画面を広さに合わせて使えるようにしました。端末をまたぐので、記録はサーバーに保存します。
ただ、スマホ対応は、最初から考えることにしました。自分の使い方はスマホではなくても、サービスとして公開したときに、スマホで管理する人のほうが多いと見込んだからです。気をつけたいのは、iPhone で坐禅のタイマーを使う人が出てくることです。iPhone でも、最初に実機で確かめます。
Notion からの取り込みは、CSV にした
最初は「Notion から自動で取り込む」つもりでした。ハコヅミのスクリプトを確かめると、自動ではありませんでした。Notion から CSV を書き出し、スクリプトで SQL に変換して、ダッシュボードのコンソールで実行する形です。
Notion の API で自動取り込みする方式と比べました。API は、トークンの管理、ページ分割の取得、レート制限などの手間が増えます。一度きり、1,789行の分だけなので、見合いません。CSV 方式にしました。
ハコヅミと違うのは、Notion が「1日1行・習慣ごとに列」の横持ちだということです。縦持ち(日付・習慣・やった)に変換する部分を、新しく作ります。取り込みのときに気をつけることも、確かめてあります。
- 「座禅」「早起き」の列名の先頭に、全角スペースが入っている
- 日付のない行が5件ある
- 同じ日付の行が2つある日が1件ある
名前を「ワダチ」に決めた
企画の記事のタイトルになるので、最初に名前を決めました。ハコヅミのときの基準に、次のことを足しました。
- 「朝」を入れない(夕活・禁酒など、夜の習慣もあるため)
- 連続日数を主役にしない方針に合う
- 坐禅のタイマーも含めて、毎日のものとして呼べる
最初の案は、ワダチ(轍)、ヒヅミ(日積み)、アシアト(足跡)、ひめくり(日めくり)、カネノネ(鐘の音)、マイニチ(毎日)。追加で、ミチスジ、ノコリビ、ツミビ、ヒトヒなども出ました。本命は、ワダチとヒヅミに絞られました。
ワダチにした理由です。
- 意味が「続けてきた跡」。休んだ日があっても跡は残る。連続日数を主役にしない方針と、そのまま重なる
- 短くて呼びやすく、ヒヅミより音感がよい
- ハコヅミと同じく、売りの考え方が名前に出ている
ヒヅミは、ハコヅミとのシリーズ感が魅力でした。ただ、音が近すぎて、混同されそうなので見送りました。
気になったのは、「轍」は道が荒れている印象もあることです。ただ、イメージしているのは、アメリカ西部で馬車が通ってできた轍です。何度も通った跡が、道に残る。気にしないことにしました。検索では、「ワダチ」「Wadachi」という名前の習慣アプリは見つかりませんでした。
ドメインは、wadachi.app などが取得済みでした。でも、独自ドメインは取らず、ハコヅミと同じく、jiru-labo.com のサブドメイン(wadachi.jiru-labo.com)にします。サービスが増えても、ドメインの費用や管理が増えません。ベースカラーは、いったん茶系です。アイコンやトップページの画像は、ハコヅミの雰囲気に近いものを、ChatGPT で作ってもらう予定です。
おわりに
ワダチは、次の考えで作ります。
- 毎朝のルーチンの記録を、1か所にまとめる(Calm と Notion の二重記録をなくす)
- 連続日数ではなく、積み上がりを見せる
- 坐禅のタイマーは、記録の付け方の1つ
- 最初からマルチユーザーで作る。iPad mini・パソコン・スマホで使えるようにする
次回は、開発を始めるための土台づくりです。ハコヅミの CLAUDE.md から、共通の方針を切り出して、ワダチの CLAUDE.md を作ります。