ハコヅミを作る #1:キャンプの忘れ物を、コンテナごとなくすアプリ
前回の記事までで、「なぜ作るのか」「何を作るのか」「どう作るのか」がひと通りそろいました。 今回から、最初のサービスの開発記録「ハコヅミを作る」シリーズを始めます。
作るのは、キャンプ道具のチェックリストアプリです。名前は**ハコヅミ(Hakozumi)**にしました。 (2026年9月時点の内容です)
きっかけ:Notionでは、あと一歩届かなかった
キャンプ道具は、今はNotionのデータベースで管理しています。 項目は、道具の名前・分類・メーカー・製品名・収納・人数(ソロ/ファミリー)・スタイル(日帰り/宿泊)・チェック・今回不要、などです。
「収納」の項目で、どのギアがどのコンテナ(カーゴボックスなど)に入っているかは、すでに管理できています。 それでも、使っているうちに不満が2つ出てきました。
1. コンテナ単位でチェックできない
キャンプの荷物は、ギアをコンテナにまとめて入れておき、コンテナごと車に積みます。 コンテナを積んだ時点で、中身は全部積んだことになります。それなのに、Notionでは中のギアを1つずつチェックするしかありません。
2. キャンプのたびにリセットが必要
「チェック」と「今回不要」が、ギアそのものに付いています。 そのため、次のキャンプの前には、全部のチェックを外す作業が必要でした。
サービスを選ぶ基準を考えたとき、候補を探す問いの1つに「Notionや表計算ソフトでは、あと一歩届かないことは何か」を挙げました。このアプリは、まさにそのパターンです。
多くの人に求められるものではないことは承知のうえで、まず自分が欲しいものを作ります。 コンテナで道具を管理しているキャンパーには、きっと刺さると思っています。
何ができるアプリか
基本の機能は4つです。
- 持っているギアを登録できる(編集・削除も)
- プラン(ソロ、デュオ、ファミリーなど)を選ぶと、そのプランで持っていくギアのチェックリストが表示される
- プランも自由に登録できる(編集・削除も)
- コンテナをチェックすると、中のギアがまとめてチェックされる
4つ目が、Notionではできなかった一番の売りです。
一番大事な設計:ギアと、毎回のチェックを分ける
リセットの手間をなくすために、データを2つに分けます。
- 持ち物の定義:ギア・コンテナ・プラン。めったに変えない
- 1回のキャンプの記録:プランを選ぶたびに新しく作る。チェックや「今回不要」はここに記録する
チェックの状態をギアから切り離すので、次のキャンプでは新しいチェックリストを作るだけです。リセットは要りません。 過去のキャンプの記録も残るので、将来は「前回と同じ」で始めたり、キャンプの履歴として振り返ったりできるようにしたいと考えています。
そのため、1回分のチェックリストを入れるテーブルは、checklists ではなく camps(キャンプ1回分)という名前にしました。最初はチェックリストとして使い、後から日程やキャンプ場、感想メモの列を足せば、予定や履歴に育てられます。
コンテナの一括チェックで決めたこと
一括チェックは簡単そうに見えて、決めておくことがいくつかありました。
- 表示:コンテナごとにまとめて表示し、コンテナに入っていないギアは個別に並べる。車に積み込むときの動きと同じにする
- チェックを外したとき:コンテナのチェックを外したら、中身のチェックも全部外す
- 中身が足りないとき:一括チェックは「コンテナの中身が正しい」ことが前提です。前回使ったランタンを戻し忘れた、という失敗は防げません。そこで、コンテナをタップすると中身の一覧が出るようにして、確かめられるようにします
- プランにない物が入っているとき:コンテナごと持っていくので問題なし。チェックリストには、プランに含まれるギアだけを出す
- コンテナの入れ子:最初は「コンテナの中にギア」の1階層だけ。「コンテナの中のポーチ」まで対応すると、一気に複雑になるので後回しにする
使う場面を考える
チェックするのは、車に荷物を積み込んでいるときです。
- スマホで、片手で操作できる:タップしやすい大きなボタンにする
- 電波がなくても使える:キャンプ場で撤収するときにも使うなら、オフラインで動くことが必要になる。最初からは作らないが、後で対応しにくくなる作りは避ける
最初に作る範囲(MVP)
開発の進め方で決めたとおり、まずは小さく作ります。
- ギアの登録・編集・削除
- コンテナの登録・編集・削除と、ギアとの紐づけ
- プランの登録・編集・削除と、ギアとの紐づけ
- プランを選んで、チェックリストを1回分ずつ作る
- コンテナ単位の一括チェック
- 今のNotionのデータを取り込む(一度きりのスクリプトでよい)
その先は、欲しいものリスト、ギアの画像、キャンプの予定と履歴、撤収時のチェックリストなどを、少しずつ足していくつもりです。
さらに先には、ほかのキャンパーとキャンプ履歴やギアのおすすめを共有できるようにする構想もあります。そのための列(持ち主を表す user_id や、公開範囲の visibility)だけは、最初から用意しておきます。
アプリ名「ハコヅミ」を決めるまで
名前には、次のことを込めたいと考えました。
- 車に荷物を積む場面
- 一番の売り(コンテナごとの一括チェック)
- 将来の広がり(ギアの一覧や履歴、共有)
- 業務システムっぽくない、柔らかい雰囲気
最初は「つみこみ帳」「ギアノート」「わすれものゼロ」「そろった!」なども候補に挙がりました。 そこから「箱ごと積む」方向に絞って、「ハコごと」「ハコヨシ」(指差し確認の「ヨシ!」)、「ハコイリ」なども考えました。
最終的に選んだのが、「箱(コンテナ)ごと積めば、中身も積んだことになる」をそのまま表したハコヅミです。
正直に言うと、有名な漫画・ドラマの「ハコヅメ」と1文字違いで、検索では埋もれやすいと思います。 それでも、検索で見つけてもらうことはあまり気にせず、アプリの売りがそのまま伝わる名前を選びました。英語名も、そのまま「Hakozumi」です。
おわりに
最初のサービスは、次の3点を大事にして作ります。
- コンテナを積めば、中身もまとめてチェックされる
- キャンプのたびのリセットをなくす
- 車に積みながら、スマホの片手操作で使える
次回は、開発を始めるための土台づくりです。リポジトリの作成から、自動テスト、開発環境・本番環境への自動デプロイ、Cloudflare Accessでの保護までの記録を書きます。