どんなWebサービスを作っていくか:サービスを選ぶ6つの基準

前回の記事では、定年後は案件を受けずに、自分のWebサービスを作っていくことにした経緯を書きました。 では、具体的にどんなサービスを作っていくのか。今回は、作るサービスを選ぶための基準を整理します。 (2026年9月時点の方針です)


大前提:10年続けることと、喜ばれること

基準の前に、2つの前提を決めました。

1つ目は、向こう10年、70歳ぐらいまで続けられるサービスを目指すことです。 作って終わりではなく、長く使ってもらえるものにしたいと考えています。

2つ目は、収益より、喜ばれるかを重視することです。 前回書いたとおり、定年後から年金を受け取るまでは、仕事の収入がなくても生活できる見通しが立っています。売上のために妥協しなくていいのは、個人で、しかも定年後に開発する自分ならではの強みです。その強みを素直に活かしたいと思います。

この2つを前提に、サービスを選ぶ基準を6つ決めました。

基準1:自分が使うもの

まずは、自分が本当に欲しいものを作ります。

自分が利用者なら、何が必要で何が不要かで迷いません。使っていて不便なところにもすぐ気づけます。 何より、自分が毎日使うものなら、10年続けるモチベーションが途切れにくいはずです。

基準2:ニッチな用途で、刺さる人には刺さるもの

利用者を大きく増やすことは前提にしません。 多くの人に少しずつ使われるものより、少ない人数でも、使う人に深く喜ばれるものを選びます。

利用者が爆発的に増えると、サーバーの費用も問い合わせも増え、1人では面倒を見きれなくなります。ニッチであることは、この後の基準4とも相性が良い選び方です。

基準3:規制の厳しい分野は避ける

医療のように、法律やガイドラインによる規制が厳しい分野は扱いません。 こうした分野では、次のような負担が大きくなります。

  • 国のガイドラインに沿った安全管理が求められる
  • 病歴のような、特に慎重な扱いが必要な個人情報を扱うことになる
  • 不具合が起きたときの影響と責任が重い

どれも、個人開発の範囲を超えやすいものです。

実は、自分が本業で長く関わってきたのも、この「規制の厳しい分野」に当たります。そのため、本業の業務知識は個人開発には持ち込まないことにしました。在職中に本業と近い分野のサービスを作ると、会社との関係でも問題になりかねません。

ただ、分野の知識は使わなくても、30年以上業務システムに携わってきた経験そのものは、どの分野でも活きると考えています。利用者の作業の流れを理解して本当の手間を見つけること、長く使われるデータ設計、保守や運用を見据えた作り方。こうした経験は、分野が変わっても通用するはずです。

基準4:1人で、70代になっても運用し続けられる規模

10年続けるということは、70代になっても1人で面倒を見られる必要があります。

そのため、サーバーの管理などはできるだけマネージドサービスに任せ、運用の手間を下げます。自分で面倒を見る範囲を小さくしておくことが、長く続けるための一番の備えだと考えています。

基準5:個人情報や決済情報をできるだけ持たない

扱う情報が少なければ、万一のときの影響も、守るための手間も小さくなります。

必要のない個人情報は最初から持たない設計にします。決済を扱う場合も、カード情報などは自分のサービスでは持たず、決済サービスに任せます。

基準6:やめざるを得ないときは、スッパリやめられるもの

10年続けることを目指す一方で、体調や家庭の事情などで、続けられなくなる可能性もゼロではありません。 そのときに、利用者に迷惑をかけずに終えられる形にしておきます。

一見、「10年続ける」と矛盾するようですが、そうは考えていません。やむを得ず終えるときの終え方を、最初から約束しておく。その安心感があってこそ、個人が運営するサービスを選んでもらえると思うからです。

具体的には、今のところ次のように考えています。

  • 有料プランを作る場合は、月額の少額サブスクを基本にする(金額はこれから検討)
  • 買い切りや生涯プランは提供しない。月額なら、終えるときは以降の請求を止めるだけで済み、利用者の損失は最大でも1か月分に収まる
  • 終了するときの方針を、公開時点から明記しておく。事前に告知すること、告知後は新規登録と課金を止めること、自分のデータはいつでもエクスポートできること、などです

成功の基準

売上は目標にしません。代わりに、次の2つを成功の基準にしました。

  • 使ってくれる人がいて、喜んでもらえている
  • サーバー代を賄える

最初に作るサービス

この基準に沿って、最初に作るサービスはキャンプ道具の忘れ物を防ぐチェックリストにしました。

キャンプ道具の管理は、これまでNotionで行ってきました。ただ、道具をコンテナにまとめて収納している場合のチェックなど、Notionではあと一歩届かないところがありました。自分が使いたいもので、キャンプをする人の中でも刺さる人には刺さる、まさにニッチなサービスです。 詳しい中身は、別の記事で紹介します。

2つ目以降の候補は、まだ決めていません。 「Notionや表計算ソフトでは、あと一歩届かない」と感じていること。家族や身近な人が不便そうにしていること。そうした日常の不便を、アイデアとして書き溜めていくつもりです。

サービスページに書いている「日々の暮らしや仕事を少し便利にするWebサービス」とは、こういうものを指しています。


おわりに

基準を並べてみると、どれも「10年続けられるか」と「喜んでもらえるか」の2つに行き着きました。 大きく稼ぐサービスではなく、小さくても長く喜ばれるサービスを、無理なく続けていければと思います。

次回は、これらのサービスを作るための技術スタックについて書く予定です。

← トップページに戻る