定年後は案件を受けず、自分のWebサービスを作ることにした
定年後はフリーランスエンジニアとして働く。50代でWebサービス開発の部署に異動してから、ずっとそう考えてきました。 ただ最近になって、その中身を「案件を受けて働く」から「自分で作ったWebサービスを提供する」に切り替えました。
この記事では、一度は下がってしまった意欲が、方針を変えたことでまた上がってきた経緯を書いておきます。 (2026年9月時点の方針です)
もともとの目標は「案件を受けるフリーランス」
30年以上、IT企業でプログラム開発に携わってきました。キャリアの大半は、VB.NETで作られた業務システムの開発と保守です。 50代でWebサービス開発の部署に異動し、クラウドや今どきのWebアプリ開発に触れるようになりました。
そこで立てた目標が、「定年後はフリーランスエンジニアとして案件を受けて働く」でした。 新しい技術を身につければ、定年後もクラウドソーシングなどで仕事を取っていける。そう考えていました。
ライフプランを作ったら、意欲が下がった
定年まであと数年になり、老後のお金の見通しを立てるためにライフプランを作りました。 その結果、定年後から年金を受け取るまでの期間は、仕事の収入がなくても生活できるという見通しが立ちました。
安心できる結果のはずです。ところがそれ以来、フリーランスとして働くことに、どうも本気になれなくなっていました。
意欲が下がった理由を考えてみた
なぜ本気になれないのかを考えていくと、思い当たることがありました。費用交渉が大の苦手なのです。
今の仕事でも、見積もりを出す場面になると、どうしても安めの金額を提示してしまいます。 改めて振り返ると、仕事の中で一番やりたくない作業がこれでした。
案件を受けるフリーランスになれば、この交渉を定年後もずっと続けることになります。 しかもバイブコーディングが当たり前になり、「コードを書ける」こと自体の価値は下がってきています。安い単価の案件を、苦手な交渉をしながら取り合う。そんな姿を想像すると、気が進まないのも無理はありませんでした。
同じ事実を、逆向きに見てみた
そこで、考え方を逆にしてみました。
収入がなくても生活できるのなら、無理に案件を取る必要はない。 それなら、その余裕を武器にして、本当に自分がやりたい開発をすればいいのではないか。
少しは趣味寄りになりますが、好きなものを作ってWebサービスとして公開し、そこから少しでも収入があれば十分です。 そう考えた途端、一気に開発意欲が湧いてきました。
何が起きていたのか
後から整理すると、こういうことだったのだと思います。
もともとの目標を支えていたのは、「稼がなければならない」という必要性でした。 ライフプランによって、その必要性がなくなりました。すると残ったのは「苦手な交渉をしてまで案件を取る」ことだけです。本気になれないのは当然でした。
方針を変えた今は、同じ事実が逆向きに働いています。 「収入がなくても生活できる」が、やらなくていい理由から、好きなことを選べる理由に変わりました。やる気の源も、「必要だから」から「作りたいから」に移っています。
ライフプランが意欲を奪ったのではありません。目標と、本当にやりたいことのずれを見えるようにしてくれたのだと思っています。
この方針で良いと思える理由
価格交渉がほぼなくなる
自分のサービスでも、価格は決める必要があります。ただ、決めるのは一度だけで、相手と向き合って交渉する必要はありません。 価格を公開しておけば、あとは利用するかどうかを相手が決めてくれます。一番苦手な作業から離れられるのは、長く続けるうえで大きいと感じています。
売上のために妥協しなくていい
生活費のために稼ぐ必要がないので、ニッチで小さくても、自分が作りたい分野に時間を使えます。 売上が立たないからといってやめる必要もありません。これは個人開発を続けるうえで大きな強みだと思います。
業務システムの経験が活きる
作ること自体は、AIの力を借りれば誰でもできる時代になりました。 一方で、30年間業務システムに関わってきたことで、「業務のどこに本当の手間があるか」は身をもって知っています。この経験とクラウドの技術の組み合わせは、自分ならではの強みになると考えています。
気をつけたいこと
良いことばかりではないので、気をつけたい点も書いておきます。
- 作るより、知ってもらうほうが難しい:似たサービスはすぐに増えます。交渉は苦手でも、発信は別の能力です。このブログで開発の過程を公開していくことが、そのまま集客になればと考えています
- 締め切りがない:作りたい気持ちで始めたことは長続きしやすい反面、完成しないまま作り込み続けてしまいがちです。公開日を決めて宣言する、機能を削ってでも小さく出す、といった枠組みを自分で用意するつもりです
- 公開すれば運用の責任が生まれる:利用規約や問い合わせ対応、障害対応など、趣味だからといって投げ出せない部分が出てきます。70代になっても1人で面倒を見られる規模と構成にしておくことを意識します
これから
成功の基準は、売上ではなく次の2つにしました。
- 使ってくれる人がいる
- サーバー代を賄える
最初に作るサービスは、自分が使いたいものにします。多くの人に求められるものではないと分かったうえで、まずは自分が欲しいものを作ってみるつもりです。 これまで家計簿アプリを題材に、SvelteKitとCloudflareでの開発を練習してきました。次は、実際に公開して使ってもらうサービスとして作ります。
具体的な中身は、別の記事で紹介します。公開の準備が整ったら、サービスページにも載せていきます。
おわりに
「定年後は何をして働くか」は、お金の心配があるうちは「どうやって稼ぐか」と同じ意味になりがちです。 お金の見通しが立ったことで、初めて「何を作りたいか」から考えられるようになりました。
同じように定年後の働き方を考えている方の、何かの参考になればうれしいです。